事例2:10歳 男子
競技スポーツ:バスケットボール
スポーツ歴
小学3年生より
サポート期間
2年
サポート開始時の相談内容
身長は同じクラスだと低い方だが背の順がないので正確にはわからないとのこと。本人はバスケットボールが好きで続けて行きたいが背が低くて中々活躍できていないとのこと。スポーツは続けてほしいが、違うスポーツを考えた方がいいか?もしできることがあるならサポートをしてあげたいので、医学的なバックアップをお願いしたいのとのことで今回の相談となった。
ご両親からの予測身長 169cm
サポート内容
サポート時に必要な物:保管されている成長に関する記録を全て持参下さい
事前にお子さんにどのような相談に行くのか?を伝えて頂きます
初回の注意点:お子さんに何をするのか?が伝わっていないケースでは採血などを行わないことがあります
初回の内容:カウンセリング(現在の身体の状態把握(予測身長)、競技レベルの確認、目標設定)
レントゲン撮影(手のレントゲン(骨端線の確認))
追加検査の内容:希望時には採血(発達段階の評価、運動中のトラブルを予測するため心疾患や甲状腺機能、貧血を含む)
実際のサポート内容
小学4年〜小学5年
小学6年
カウンセリング内容:成長曲線から同学年としてはやや低い水準。バスケットボールは好きだが、身長の問題もあり、シュートを打ってもブロックされたり、うまくいかないことが多いとのこと。足はリレーの選手には一度も選ばれたことがないが、コロナ禍もあり、運動会そのものがあまり活発でなかったので、本人もそれほど気にしていない様子。
医学的には、成長曲線から-2SD以下ではなく病的な「低身長」のおそれはないが、在胎週数などから十分な成長ホルモンが分泌されておらず二次性徴の前までに十分な身長の伸びが期待できない可能性もありうるため、採血・レントゲンなどをご提案。本人は、バスケットボールは好きだが、採血をすることを聞いていなかったので、一度家族で相談の上検査をするかどうか考えることとして、初回はカウンセリングのみとなった(栄養相談などは同時に施行)。
1週間後に大きくなる可能性があるなら頑張ってみるとのことで、採血とレントゲンを実施。さらに1週間後に採血結果が届き(別紙参照)から、ソマトメジンが正常下限(成長ホルモンの指標)、骨代謝(ALP)の上昇も見られない状態。晩熟型の可能性が高いが、二次性徴の前に可能な限り身長を伸ばしていくことで、二次性徴に入った時のスパートで身長の増加が期待できることをお伝えしている。その他データから、二次性徴準備期に小学6年〜中学1年頃に入り、その後に二次性徴が始まってくることが予想されるため、ご両親からの予測身長と成長曲線からの予測身長は168−170cm程度であり、さらに上を目指していくためには、小学6年までに150ー155cmくらいを目指す必要があることをお伝えした。ご家族もご自身の身長に対する考えから、可能な限り身長を伸ばすためにはどういう取り組みがベストなのか?とご質問があり、栄養療法+生活習慣もしくは栄養療法+生活習慣+成長ホルモン療法が効果が期待できるものであることをお伝えした。
成長ホルモン療法は、適応外使用になるため保険適応から外れること、様々なインターネット情報などをみるとリスクについて書いてるため、成長ホルモンを使う場合には当院では、白血病などとの関連性は現時点では否定されているものではありますが、開始時に血液検査でリスクを確認し、毎月1回は採血にて糖尿病のリスク、成長ホルモンの投与量が適切なのか?を確認して行うことをお伝えし御検討いただくようにした。
カウンセリングから3週間後に治療開始をご家族および本人からも意思を確認し治療開始となった。
その後、3ヶ月程度してから成長曲線にあるように伸び悩んでいた身長が月に1cm毎伸びるようになり、合わせて行う採血でもソマトメジンの上昇に合わせて曲線が1段階上に上がってきていることを確認。サポート開始9ヶ月目で、開始時よりすでに7cm大きくなっており、食事量も本人の意識と治療の相乗効果で多くなってきているため、摂取タンパク質量も体重✖️1.2倍程度取れるようになり、胃腸のトレーニングもしっかりと進んでいる様子。同時にご家族の食事に対する意識も大幅に変わり、子供の食事に意識してタンパク質をとるようになり、外食時なども成分を意識していただけるようになった。
開始後1年半で目標である150cmに近づいてきており、二次性徴の開始とともに十分なスパートが期待できる状態になっている。